自動車保険のノウハウ
続いてドイツ・マルクが14%、円が7%、英ポンドが4%弱、仏フランが2%となっている。
しかし、99年以降は、この数字から単純に計算しても、ユーロは世界の準備資産の2割を占めることになり、ドルの地位は相対的に揺らぐ。
そしてさらに、ユーロ参加各国の中央銀行の資産圧縮がこれに影響する。
これまではヨーロッパ各国間の貿易取引であったものが、今後はユーロで決済される国内取引となり、外貨準備そのものの必要水準が大幅に低下するのである。
八カ国合計、2000億ドルの外貨準備のうち、ドルはその約三分の二を占めていると見られるが、外貨準備総量の圧縮によって、ドルはここでも役割を失い、はじき出されてしまうだろう。
それがユーロ高・ドル安要因となる可能性もある。
次に、国際金融資本市場におけるドルの将来はどうなるか。
銀行の対外貸し出しについては、これまでもドル建てが八割前後と圧倒的比重を保ち、これは国際シンジケート・ローンでの米銀の組成能力の反映でもあるため、当面大きく揺らぐことはないだろう。
しかし、問題は債券市場である。
国際起債市場における債券発行の通貨別比率を見ると、ドル建ては約四割。
これに対して、ユーロ建て債券の比率を、「参加国通貨建て+これまでのECU建て」の単純合算で割り出してみると、96年にすでに約四割に達し、ドルとほぼ括抗していることがわかる。
「ヨーロッパ合衆国」内の社債、株式、流通市場はユーロ建てとなり、21世紀にはドルの役割は相当に減殺されるであろう。
さまざまな経済力の国(地域)で流通する広域通貨のユーロが、為替レートの水準でマルクに及ばないのは当然のことである。
しかし、アメリカと違って、大経済圏ヨーロッパには対外赤字が根を張っているわけではない。
ユーロは、これをドルと比較して見るとき、基本的には強含みないし安定した通貨となることが予想される。
このことがもっとも重要である。
円の安定化他国の経済的思惑から、7万的に円が切り上げられることのない仕組みを作るためにはどうしたらよいのか。
一つの選択肢として提示したいのが、円が自ら進んでユーロの傘に入るというプランである。
奇抜に思われるかもしれないが、根拠のないことではない。
まず、自ら小世界を創ることのできなかった円は、今後、ドルとユーロに挟撃されてさらにローカル化することは避けられない。
第2に、国内経済政策にユーロの影響が及ぶことも当然のなりゆきとなるだろう。
97年10月、ドイツは5年間にわたる低金利政策を修正、フランスもこれに追随して、ヨーロッパではユーロの施行に向けて金利政策の足並みをそろえた。
ユーロはこれによって合理的金利水準を備えたものになるであろう。
九八年の外為法改正後、投資家はユーロ圏内の金融機関店舗から自由にユーロ建て資産を手にすることができるようになった。
ドル安リスクを負担している日本の投資家にとって、これは朗報といえる。
しかし、影響はそれにとどまらない。
ユーロ建て資産へのマネー流出が一時的であれ大幅な円安につながるとすれば、日本も超低金利をいでも放置しておくことはできない。
ユーロの金利の国内への影響を遮断することは不可能になってくるわけである。
第3に、そこから、いっそユーロとの結びつきを緊密化してはどうか、という選択が発想されるのである。
かつて86年5月の東京サミットで、フランスは、ヨーロッパ連合通貨統合の準備のための準固定相場制に、1ドルと円の二大通貨も入ってはどうか、と提案したことがある。
アメリカにとっては自国の通貨制度の根幹に関わる問題で、簡単に乗れる話ではなかった。
プラザ合意後のドル安の渦中ではあったが、日本も正面からこの提案を受け止めた形跡はない。
国際通貨としての特権を維持しつつ、ドル安への自由をも確保しておきたい。
これがアメリカの本音である。
しかも、慢性的な経常赤字を抱える経済は、通貨の下落圧力を常に抱えこんでいる。
これでは円の安定をドルとの関係に託すことができない。
これは日本経済がこの20年間に得た教訓でもあった。
ユーロの場合は、この巨大な経常赤字という特性が構造的にはビルト・インされていない。
くり返すが、ここが大きなポイントである。
円とユーロをリンクさせるプログラムは、次のように進められるだろう。
はじめに、日本の外貨準備2000億ドル、そのほとんどがドル建てという現在の異常な姿が是正され、ユーロ建て資産が積み増されてゆく。
そのうえで、円とユーロの変動幅を、望ましくは独・仏の合意のもとで、一定範囲に抑えるべく、独自の市場介入を行う。
ユーロとの承離幅によっては、独・仏を含めた協調介入が行われる体制をつくっておく。
こうしたわが国の対応は、ユーロそれ自体の安定、利益にかなうものでもある。
ここまでは円の安定化のための戦略である。
これにさらに、アジアにおける円の世界の創出という究極の目標が加わる。
通貨・経済危機に見舞われた東アジア諸国にとって、安定した通貨システムを作り上げることは、今後の痛切な課題である。
これら諸国は通貨危機に際してドル連動を放棄し、変動相場制に移行しているが、いずれドルまたはドルの代替通貨に自国通貨を結びつけて安定化をはかろうとするであろう。
その際、価値の安定した通貨「ユーロ=円」は最有力候補となるだろう。
円という通貨を新たな基盤のもとに現出させることによって、これまでは構想倒れになっていた「円経済圏」をさりげなく実現することもできるはずである。
そこにはじめて、20年に及ぶ日本経済の混乱を乗り切る、かすかな展望が開けるのではないだろうか。
終わりにキリギリスの「ニュー・エコノミー」「アリとキリギリス」というイソップの寓話がある。
貯蓄性向の高い日本経済は「アリ型」で、消費性向の高いアメリカ経済は「キリギリス型」だという比略を、日米構造協議をめぐる議論がさかんであった頃、耳にしたことがある。
最後に笑うのは日本だ、という趣旨であったか、アメリカの過剰な消費を戒める喰えぬ話であったのか。
そこが、じつは大きな問題だった。
イソップの物語は、夏に楽しく鳴き続けたキリギリスは、冬には死を迎えなくてはならなかったが、暑い盛りに働いたアリの方は、その労働の成果で無事冬を越すくたしかそんなストーリーだったと思う。
ところが、現実の日米経済関係の方は、この物語にくらべると、少々複雑な構造を持っていて、キリギリスの夏の生活をアリが支えていたものだから、結末も寓話どおりというわけにはいかなかった。
経済学の議論に、「異時点間の貿易」という、ハーバード大学のジェフリー・サックス教授などが展開していた考え方がある。
国際間の資本移動を、現在の財と将来の財との交換、つまり一種の貿易と捉えるのである。
現在の消費を控えて貯蓄に回し、これを現在の消費を楽しみ終わりにキリギリスのニュー・エコノミー大国に移動させるのが資本輸出国。
この国は、現在よりは将来の、より大きな消費を期待するため、資本を他国に移動させる。
一方、資本を輸入する国では、それによって現在の消費を増やすことができるが、将来は割り増しをつけて輸出国に返還しなくてはならない。
こうした考え方は、「国際収支発展段階説」を思い出させる。
債権国は、現在の債務国に対して、将来、経常黒字国になったあかつきには、その黒字のなかから元本と利子とを捻出してくれるだろうことを期待する。
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